風邪・感冒
一般に感冒や風邪(かぜ)は同じもので、正式にはかぜ症候群と呼び、上気道の急性炎症と定義されています。
気道は上気道と下気道に別けられており、かぜ症候群は上気道の急性炎症になります。この炎症が下気道まで広がると、急性気管支炎や肺炎と呼ばれるようになります。
かぜ症候群の原因のほとんどはウイルス感染で、ライノウイルスやRSウイルスなどが頻度として多いとされています。インフルエンザは症状が強く、治療薬も違うため、別けて考えられています。
残念ながら、現時点ではかぜ症候群には特効薬はなく、治療は症状を抑える対症療法のみです。また、原因はウイルスのことが多いので、抗生物質も無効です。
しかし、そもそも症状は軽く、通常は数日で治癒してしまいますので、治療としては対症療法で十分ということになります。
「かぜは万病のもと」といいますが、全くその通りで、かぜを拗らせて放置すると命にかかわることもありますので、経過が悪い、治りが悪いなど、普通と違う場合には、すみやかに医療機関を受診した方がよいでしょう。
また、かぜの症状というもの、非常にあいまいで、本当は他の病気であっても、かぜの症状と勘違いして受診が遅れることがあります。
ある研究では、かぜと思って受診した患者さんの半分は違う病気だったという報告があるそうです。
ですので、風邪症状であっても、なにか違うなと思ったら、受診をお勧めします。
インフルエンザ
インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染して起こる急性の呼吸器感染症です。
症状は急激な発熱や咽頭痛、悪寒戦慄などで、その主な感染経路として、飛沫感染(くしゃみや咳でうつる)や接触感染(ウイルスのついた手で目を触るなど)があります。
通常は11月ころから患者が増え始め、4月頃に収束していましたが、最近は新型コロナ感染症に対して多くの人がマスクの着用や手洗いをしっかりするためか、インフルエンザにかかる人は激減しています。
治療には、インフルエンザ薬として内服薬、吸入薬、点滴薬など多くの薬がありますが、基本的には自然に治癒する病気ですので、必ずしもインフルエンザ薬は必要ではないとされています。
しかし、糖尿病や肺気腫など他の慢性疾患を持っている方は、インフルエンザが重症化することも多いため、早期の治療が望ましいのでご相談ください。
※現在、新型コロナ感染対策として、発熱のある患者様の診察は別の診療体制で対応しております。詳しくはお電話にてお尋ねください。
糖尿病
糖尿病は慢性的に血糖値が高くなる病気です。
糖尿病にはいくつかの型がありますが、そのほとんどは食生活や運動不足が原因となり、インスリンの働きが悪くなったり、インスリンの分泌そのものが減ったりする2型糖尿病です。
インスリンの働きが悪くなると糖がうまく使えなくなり、血管内に糖が余り、高血糖となります。
高血糖の状態が続くと全身の血管に障害がおこり、さまざまな病気を発症していきます。
症状としては喉が渇く、尿の回数が増える、体重が減る、疲れやすいなどがあります。
治療としては食事、運動、薬物療法を行います。
最近の食事は高カロリーであるため、糖尿病の患者数は増加傾向です。
定期的な健診は糖尿病の早期発見に役立ちますので、ぜひ、ご相談ください。
高血圧症
血圧とは血液が動脈を流れる際に血管にかかる圧力のことで、この血圧の値が収縮期血圧/拡張期血圧のどちらか一方、 あるいは両方が高いときに高血圧症と診断します。
高血圧の症状は、頭痛やめまい、肩こりなどもありますが、症状がまったくないことも多いです。
高血圧の状態が続くと、血管に動脈硬化の変化が進行し、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こすことがわかっています。
血圧が10mmHg上がると、そのリスクは15%程度高くなるともいわれています。
原因にはいろいろとありますが、遺伝的因子や生活習慣などの環境因子が複合的に関与しており、はっきりとした原因がわからないことが多いです。
治療は食事・運動療法による生活スタイルの更生を行い、効果が不十分であった場合には薬物療法を考えます。
脂質異常症
以前まで「高脂血症」と呼ばれ、中性脂肪とLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高い状態を指していましたが、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い状態もリスクが高いことがわかってきたため、これらを総称して「脂質異常症」と呼ばれるようになりました。
症状はほとんどないことが多いですが、そのまま放置すると動脈硬化が進行し、脳卒中や心筋梗塞、狭心症を合併することがあります。
また、中性脂肪が高い状態では脂肪肝や急性膵炎を発症することもあります。
原因には運動不足や偏食・過食などの生活習慣が強く関係しますが、遺伝的な要素が関与していることもあります。診断は血液検査で行います。
治療は生活習慣を構成する食事・運動療法が基本となりますが、効果が不十分な場合には内服薬を追加します。
放置すると怖い脂質異常症ですが、その治療・経過観察には定期的な血液検査や評価が必要です。ご相談いただけましたら、これらを提案させていただきますのでお気軽にお声掛けください。
高尿酸血症(痛風)
高尿酸血症は血中の尿酸値が高い状態をさします。
この状態ではすぐに症状などはありませんが、放置すると尿酸が体内で析出して結晶を作り、痛風発作を発症します。
足の付け根が最も多いとされていますが、くるぶしや膝、アキレス腱などにできることもあります。
また、腎臓に血症ができると、腎結石となります。
食生活でプリン体やアルコールを摂取すると尿酸値は上がりやすいため、治療や予防にはこれらの食材を控えることが基本となります。
プリン体はビール、レバー、肉、魚、鶏卵、魚卵などに多く含まれ、これらを控えるのは大切ですが、困難な場合もあります。
尿酸値が下がらない場合は内服薬を追加します。
高尿酸血症の経過観察には定期的な血液検査も大切です。
ご相談いただけましたら、検査や治療方針について提案させていただきますので、お声掛けください。